意匠・商標について

意匠/商標取得をお考えの方
オフィスの風景

 私たちアイピィフロンティア特許事務所は、意匠出願や商標出願も扱っています。

 意匠出願で得られる意匠権や商標出願で得られる商標権は、技術を対象としていない点で、特許権や実用新案権と相違しています。

 また意匠権と商標権とは、意匠権が創作物を対象としているのに対し、商標権が商標に化体した信用を保護対象にしている点で相違しています。

 意匠権や商標権は排他的独占権です。よって、それぞれ単独でも競争優位性を高める効果があります。

ただし、より効果あらしめるためには、意匠権や商標権を自社の企業戦略・営業戦略との関係で、意匠、商標の性質を考えて、さらに望ましくは特許、実用新案の性質をも考え合わせて、知的財産権ミックスを組むのがよいです。

そして、事業展開において各々の権利の排他性をうまく利用するのです。

 各々の性質の違いを利用する知的財産権ミックス戦略をうまく実行すると、意匠権や商標権が競争優位の獲得に大きく貢献するでしょう。意匠権と商標権の各々について更に解説します。

意匠権について

 意匠法上の意匠とは、物品に表された美感です。いわゆる工業デザインがこれに該当します。意匠法では、この他、建築物、画像も保護されます。

意匠権は、工業製品自体が持つ斬新な外観や独創的に美的処理された外観に対して財産的価値を認め、これを保護するために作られた権利です。存続期間は出願日から25年です。
パソコン

 意匠権を得るためには特許庁に意匠登録出願をし、審査を受けなければなりませんが、意匠は物品に表された美感であり、保護を求める製品デザインを写真や図面で表せばよいので、特許出願に比べて費用が少なくてすみます。

 手続の流れは、特許権の取得フローと似ていますが、意匠登録出願の場合は出願審査請求をする必要がありません。意匠登録出願により自動的に審査が開始されるからです。

 また意匠登録制度には、特許制度にない、意匠の特質に由来した独自の制度や手続があります。意匠戦略においては、これらをうまく利用することが大切です。

 意匠の特質に由来した制度の中で最も重要な制度は、関連意匠制度です。関連意匠制度は、類似関係にある意匠の登録を同一出願人に認める制度です。

 一つのデザインコンセプトから次々に生まれでるバリエーション意匠群を保護するための制度です。

キーボード

 意匠は物品の美的外観であり、物品の外観は容易に変えられるので、一つの登録意匠では、模倣盗用する競合者を十分に抑え切れない場合が生じます。

それゆえ、関連意匠制度を利用し、一つのデザインコンセプトから生まれでるバリエーション意匠群を登録して、自己の意匠権の排他権の幅を広げておくことが大切です。

これにより、その製品でより長い競争優位を維持することが可能になります。

 また意匠の特質に由来した他の制度として、組物の意匠制度があります。

 組物の意匠制度は、統一感のある複数の物品の組み合わせに対するデザインをひとつの意匠と認める制度です。

 また秘密意匠制度があります。秘密意匠制度は、最長で登録後3年間、登録意匠の内容を秘密にしておく制度です。

この制度は、極めて模倣が容易で、かつ模倣等されるとすぐに斬新さを失い、経済的価値が低下してしまうという意匠の特質に鑑み創られた制度です。

意匠登録の活用

 日本企業はずっと技術中心の製品開発を行ってきました。

 しかし現代は技術が優れていても売れない時代です。技術の優位性だけでは勝ち残れない時代です。

 この時代現象を逆方向から見ると、技術を持っていなくとも勝てる可能性のある時代であるといえます。技術は「オープンイノベーション」で他社から借りればよいのです。

 しかし、自社に全く取り柄や特徴や知的資産がないと、誰も相手にしてくれません。仮に相手にしてくれたとしても、自社の競争優位を築くことはできません。そこで意匠登録です。

 他社が欲しがる自社ならではの取り柄や特徴を短期間で作ることはできません。技術開発には多大な時間とお金が掛ります。これに比べ意匠の開発は遥かに低コスト、短期間で済み、中小企業でもできます。

 例えば、長年取り扱っている製品・商品をデザイン的側面から見直してみる、時代感覚に合わせ再デザインするなどにより新規な意匠が生まれます。これを意匠登録出願して意匠権を得るのです。

 このようにして生まれた意匠権を自社独自の強みとし、これに他社技術をオンして機能的にも優れた製品とします。

 つまり他社技術を加えて自社製品の強みを強化し、競争優位性を高めるのです。

 この手法は鍋釜などの日用品のみならず、機械類、電気器具類、機械工具類、食品類、お菓子類、装飾品類、洋服類など、何にでも適用できます。

 中小企業の成長のカギは、意匠の活用です。「商標・意匠相談室」へどうぞ。

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商標権について

 消費者が商品・サービスを購入する際、メーカー名やブランド名でどれを買うか決めることが行われます。

これは、商品につけられたブランドに対する信用や期待があるからです。

 この信用や期待は自然に発生しているものではなく、商品・サービスを提供しているメーカー側が、消費者の裏切らないよう企業努力し、その信用や期待を「商標」に化体させているものです。

白いカバーの本

 日本国においては、商標は人の知覚によって認識することができるもののうち、自他商品(役務)の識別標識として商品(役務)に付して使用する標章をいっています。

 標章には、文字、図形、記号などがあり、このような標章を自他商品・サービスの識別標識として使用したとき、「商標」の使用ということになります。そして、商標を独占的に使用することのできる権利が商標権です。

 商標は、自他商品(役務)の単なる識別標識であり、人間の頭脳が生み出した創作物でない点で、発明や意匠とは異なり、特許権や意匠権が期間限定の権利であるが、商標権は更新することにより永遠に存続させることができる権利である点で相違しています。

 いうならば商標は単なる選択物ないし採択物です。よって自分の商品にどのような商標を選択して使用するかは、本来自由です。

 ただし、他人の信用にただ乗りするような使い方を許すと、取引の安全が阻害されてしまいます。

 また各人が自由に選んだものの全てに独占排他権を与えると、同一内容の商標権が世の中に溢れ、互いにぶつかりあうことになります。

 また私人に独占させるべきでない商標もあります。

万年筆

 それゆえ、特許などと同様、商標登録出願して審査を受ける制度が採用されています。

 そして、商標法に「商標登録の要件」と「商標登録を受けることができない商標」を定めています。

これらの要件を具体的なレベルまで落とし込んで理解することは大変ですので、次の2つの重要要件を紹介しておきます。

 1つは、自他商品(役務)識別力があることです。そもそも、自他商品(役務)識別力のない商標であると、自らの営業努力が実らない(信用を化体できない)ので意味がないので、営業戦略的な意味においても、自らの信用を化体できる、識別力に富んだ商標を選ぶのが得策です。

 もう1つは、先願既登録商標がないことです。気に入った商標であっても、既に他人が商標登録を得ている商標には、登録は認められませんし、営業戦略的な意味においても、他人の商品と混同を生じる商標を選択するのは得策ではありません。

 また、他人が商標登録を得ている商標を勝手に使用していると、商標権の侵害ということになりかねません。

 以上から、自らの商標を選択する前に、他人が商標登録を得ているか否かを調査することが望まれます。

 その上で、識別力に富んだ商標であり、本当に好きになれる商標を選択し、これを登録して商標権で護られた状態にします。

 そして安心してその商標を使用し、商売に打ち込む。これこそが会社発展につながるブランド作りの王道です。

ブランディング戦略

 ブランディング戦略は“自社はどうあるべきか”、“自社の商品はどうあるべきか”、の視点で、顧客との関係を位置づける戦略であり、最も重要な企業戦略の一つです。

 その立案・実行には高度な専門知識が必要ですが、優れたブランディング戦略であると、会社の好感度が高まり、商品の売上が伸びます。

メモ

 しかし優れたブランディング戦略も、そうでないブランディング戦略も、他者(一般需要者)から見えるものは、“シンボル”としての「商標」のみです。

 その“シンボル”の適否は、マーケティング上の問題、ビジネス上の問題、商標の用い方の問題であり、商標法上の判断基準では判断できません。

 それゆえアイピィフロンティアは、商標登録出願後、商標登録後におけるサポートを大切にしています。

 商標の活用、刺さるブランドづくりは「商標・意匠相談室はこちら」へどうぞ。

外国での意匠権や商標権の取得
手帳を見る人

 特許権と同様、意匠権や商標権も、日本で成立した権利そのものは外国においては効力を有しません。

 それゆえ、外国に商品(意匠にかかる物品を含む)を輸出する場合や外国で商品を販売する場合には、それぞれの国で意匠権や商標権を取得しておく必要があります。

 意匠、商標についても外国での権利取得を容易にする国際的な枠組み(条約)があり、日本国出願が役に立ちます。

世界規模のブランディングに対する必要性が高まる中、意匠、商標についても国際的な保護のための条約を活用しましょう。

 例えば国際意匠出願制度や国際商標出願制度があります。同じデザインの商品や同一商標を付した商品を多数国で販売する場合には、国際出願制度を利用するのがよいでしょう。

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