科学技術や生命科学に関心のある方の本年初めのサプライズは、弱酸性溶液での刺激で万能細胞になるという、理化学研究所発生再生科学総合センターの小保方晴子博士の『STAP細胞』のニュース(2014年1月)であろうと思います。
「知財の扉」も小保方さんて、すごいなあ!!と思いました。そしてこの技術は米国で国際出願されているということでしたので、早速に国際公開公報を調べました。新聞発表からそう遅くない時期に国際公開されるのではないかと思われたからです。
ところが、ビックリというか、当然というか、当該技術に関する国際出願がかなり前になされており、それが2013年10月31日に国際公開されていました。また、この国際出願(出願日;2013年4月24日)の最先の優先日は2012年4月24日(基礎出願;米国出願)でした。
これらの事実から、この分野においては熾烈な研究開発競争が戦略的にマネジメントされている、ということが窺い知れます。
ところで、万能細胞・多官能性細胞については、『ES細胞』/発生初期の胚由来の細胞、『iPS細胞』/誘導多官能性幹細胞/山中伸弥教授(京大)、『MUSE細胞』/出澤真里教授(東北大)/生殖細胞や初期胚を利用することなく、外来遺伝子の導入や特定の化合物の導入等の人為的な誘導操作を経ずに生体組織から得ることができる多官能性幹細胞、今回の『STAP細胞』/小保方晴子博士(理化学研究所)などがありますが、『MUSE細胞』と、『STAP細胞』は、外部より遺伝子を導入しない等の点で共通しています。
よって、特許法上は、今後、発明構成上の違いがどうなるのか、発明構成上の違いをどうするのか、に関心が集まるであると思われます。また、学問上は初期化原理に違いがあるのか無いのか、に関心が集まるであろうと思われます。