地域に根ざした知財(知的財産)こそが、地方創生の原資となります。
◆`地方創生・地方創生`と言われれば言われるほど、地方創生は地方衰退の逆説ではないかと思えてきます。
そんな中、日本経済新聞の“大機小機”欄(2017年7月19日朝刊)に“経済学の基本と地域創生”という記事(小論文)が掲載され、この記事に目が留まりました。
この記事では、『経済学には、ほとんどの学者が同意する基本的な考え方がある。これに照らしてみると、現在進められている地方創生策には疑問符が付くものがあるという。』という語り口で、“地産地消”の考えや、“東京集中の是正”、“人口移動の抑制”などの施策に疑問が投げかけられています。
この記事における結びは、『経済学の基本的な考え方を最大限に生かし、モノやサービスの取引、人の移動などの面で、地域をより自由でオープンなものにする。その方が、もっと伸び伸びした地方創生に役立つのではないか。』というものです。
この記事からすると、経済学の基本に照らして考えた場合、現在唱えられている地産地消や、東京集中の是正や、人口移動の抑制などの施策では地方創生は実現しないということになります。
なるほど、なるほどです。この記事を読んで、かなり頭の中がスッキリしましたが、同時に、今まで以上に“地方創生”の提唱は地方衰退の逆説ではないのか、という不安が強くなりました。
◆[知財の扉]のドアーマンである筆者は、人々が東京へ一極集中する行動は、経済学の基本的な考え方を最大限に生かす行動であると考えます。
もしこの考えが間違っていないのであれば、経済学の基本的な考え方に沿って地方創生を実現することは難しいのではないでしょうか。
地方は東京に比較し圧倒的にヒト、モノ、カネ、情報に乏しく、日本の地方は土地が狭く農業生産性が高くないのです。一言でいうと経済的優位性が乏しいのです。このような状況にあって、どのようにして経済学を活かして地方創生を図ればよいのでしょうか。
東京で世界に向けて”自由でオープンな“楽市楽座”をつくればきっと成功するでしょう。他方、大多数の地方で、楽市楽座を作っても期待通りの成果が得られないと思えます。
なぜなら、地方には、『モノやサービスの取引、人の移動などの面で、地域をより自由でオープンなものにする』条件はあるが、『経済学の基本的な考え方を最大限に生か』せる条件が欠けていることが多く、しかも強烈な吸引力を仕込むことのできる“織田信長”(先導者ないしスタッフ)がいない場合が多いからです。
◆現在の経済システムの基本は、“規模の経済”です。
人口の多い地域、人口の多い国、資源のある国に、ヒト・モノ・カネ・情報が集まります。この逆はありません。
地方は土地が安いので、地方に工場を誘致して地方創生を図る、という考えもあります。しかし今日の企業はグローバルな“地産地消”を考えているので、前時代的なこのような考え方で地方創生を図ることは難しいでしょう。
◆このように考えると、地方創生のカギ穴は、経済学の基本である「規模の経済」「大量生産・大量販売・大量消費」の枠組を打ち破る点にあると思えます。
経済学がわかる方々には、「規模の経済」「大量生産・大量販売・大量消費」を打ち破る方法を考えていただきたい。現在の経済学に代わる新しい経済学・経済システム、すなわち規模拡大を図らなくとも豊かになれる経済システムを考えていただきたいと思います。
◆地球人口はどんどん増えています。
1960年には約32億人であった地球人口は、2016年には約74億人です。地球は有限で、資源には限りがあります。
そろそろ人類は「規模の経済」「大量生産・大量販売・大量消費」に頼らなくてよい経済システムを考えなければならないステージに入っています。
◆「地方創生」は日本独自の課題に留まるものではなく、人類的課題の解決につながる可能性があります。
まずは今まで大切と思っていた価値の何かを捨てて、この価値に代わる新しい価値を作り出しましょう。
地方創生の視点からする新しい価値は、地域に根ざしたところから見出しましょう。新しい価値は、地域の知財として明確に認識しましょう。
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地域に根ざした知財こそが、地方創生の原資となります。知恵を絞り、「地方創生」に役立つ新たな知財をどんどん創り出しましょう。この知財を大切に使いましょう。
大切に守るべき地域の財産、地域に根ざした財産としての知財の存在こそが地方創生の強力な推進力になります。
地方創生に役立つ知財は、知財ソリューションで生み出しましょう。